辨 |
ゲッケイジュ属 Laurus(月桂 yuèguì 屬) には、2種がある。
ゲッケイジュ L. nobilis(月桂)
L. azorica アゾレス諸島産 |
クスノキ科 Lauraceae(樟 zhāng 科)については、クスノキ科を見よ。 |
訓 |
漢名の桂(ケイ,guì)、月桂(ゲッケイ,yuèguì)の由来について、中国で桂と呼ばれた植物を見よ。 |
英名ローレル laurel・仏名ロリエ laurier・独語 Lorbeer は、ラテン語の laurus から。学名、同。 |
説 |
地中海北部沿岸地方(トルコ・ギリシア・イタリア)に分布。シネオールなどの油を含み、芳香を持つ。
中国では主に華中で栽培されている。 |
日本には明治38年(1905)ころフランスから、ハーブとして導入された。
明治39年(1906)日露戦争戦勝記念樹として、東郷・上村両大将により日比谷公園に植えられ、有名になった。 |
誌 |
葉・果実から芳香油を採り、食品や石鹸の香りづけに用い、また工業用にする。
葉はベイリーフ bay leaf と呼び、生のまま あるいは乾燥して、香辛料・香味料として用いる。実は、月桂実と呼び、薬用にする。 |
ギリシアのオウィディウス Ovidius(43B.C.-17A.D.)『転身物語 Metamorphoses』によれば、テッサリア河神ペネイオスの娘ダフネ Daphne は、アポロン Apollon に恋慕されたがこれを拒み、追いつめられて月桂樹に変身して身を護ったとされる。これよりゲッケイジュはアポロンの聖木となり、ダフネはこのゲッケイジュの名となった。
ギリシア・ローマでは、体操や詩の競技の勝利者に、月桂冠 laurel wreath(ゲッケイジュの枝葉を編んで作った花輪、花冠) が授けられた。ヨーロッパでも、第一級の詩人たちは「ゲッケイジュの冠を戴く者」と考えられたが、イギリスでは17世紀から桂冠詩人 poet laureate が制度化された。 |